加藤先生の提案
ゼミでは相変わらず毎週レポートの報告、発表が続いた。
何せ先生と一対一でやるわけだからごまかしがきかない。毎週毎週レジュメづくりが大変だった。
先生は「それはどういう意味?」「具体的にいうとどういうこと?」
「もう一回説明してくれる?」「でもこれはこうなんじゃないの?」「本当にそうなの?」などの言葉で私にわかりやすい説明を求めてくる。うーん、どう説明すれば。かなり苦労した。
司法試験の短答式の合格発表の数日後、加藤先生は私に司法試験の結果を聞いてきた(まあ結果を待つまでもなく不合格は確信していたが)。私は当然不合格だったので「だめでした」と報告した。
すると先生はなぜかほっとしたような表情で「この大学から1名の合格者がいたみたいだから、君じゃないかと思ったよ」と言われた。
その後教授が私に「それで君はこの大学を卒業したらどうするつもりですか」と具体的な進路を聞かれた。
「東京に出て司法試験の勉強を続けるつもりです」
私にとってはこの段階では、この選択肢しかなかったのだ。
「司法試験もいいけど、ひとつ聞いてほしい話があるんだけど・・」そういって教授は私に進路に関するある提案をしてきたのだ。
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