出版社でのアルバイト
大学院に入学して早々、同じゼミの女子学生(といっても聴講生だったが)から一緒にアルバイトをしないかという誘いを受けた。
大学の近くにある出版社(確か有斐閣だったと記憶している)での校正のアルバイトで、授業の合間にでもできるということだった。その出版社は法律関係の大手の出版社で、六法全書を出版しているところだったのだが、その六法の校正作業が仕事の内容だった。
田舎にいたころはその出版社から出ている六法を使って勉強をしていたものだが、自分がそれを校正する仕事の手伝いをするなどということは想像もしていなかった。
東京という場所の特別さを感じたものである。
アルバイト代は私にとっては、そう多くはなかったが本を買う資金の足しにもなり、非常に助かったものだ。自分の勉強にもなったし、一石二鳥だったのである。
好きな時簡に来て作業をやっていけばよかったので、時間的にも非常に助かった。
そのアルバイトは六法全書の出版がなされる時期までで終わりとなったが、また必要なときには声をかけてもらえることになりいい縁ができた。
私にアルバイトを紹介してくれた女性(この人は田舎にはいない本当に不思議なタイプの女性だった)は非常に行動的で、私に色んな場所や情報を教えてくれた。東京での人間関係は彼女の紹介や縁でどんどん広がっていった。
私はどこに行っても不思議と自分より行動力のある人間がいつも近くにいて、自分の行動半径や出会いの領域が大きく広がることが多い。
私自身はどちらかと言えば行動的というよりは思索的で、考え事をするほうが好きな人間である。ただそれに現実的な裏づけを与えるように、いつも友人が私をいろんなところに引っ張っていってくれたのである。
自分と対極にある友人を持つことは、自分の人生の幅を大きく広げるものだと思う。
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