その場を照らす人に
間奏曲―フリーターの時代―その24
おそらく若いフリーターの人は自分が何を職業とすればいいかがよくわからない、というケースも多いのではないかと思える。もちろん誰でも自分がどんな職業がベストなのかなどわかるはずもないのだが、仕事に関するこだわりがあるか、あるいは逆にこだわりがないから、とりあえず就職を避けている、ということも多いだろう。
私もそうだった。学生時代には自分なりの考えで、このような方向に進みたい、などと考えていたが、その通りにいくほど世の中は甘くない。
また実際にやってみた結果、どうもこの世界は違うと感じることもあって、本当に自分がやるべき事は何か、とか自分の天職があるのだろうか、などと考えると、わからなくなってしまうのである。
ただ自分が現在やっているアルバイトはとにかく正社員並みに懸命に働こうとだけは心に決めていた。
フリーターとしてアルバイトをやっていて一番よくないのは責任感の欠如だ。もちろん正社員ではない、という気楽さはあるにしてもお金をもらって仕事をする限りは、責任がないことはない。
だから、たとえ小さな責任であったとしても、それを全うつつ仕事をすることは非常に大切だと思う。
そして仕事について考えるとき、アルバイトをしている時は、自分のやりたいことを仕事にするという考えは一旦は捨てたほうがいいのではないかと思うのだ。
もちろん人間は自分のやりたいこと、生きがいと感じられることを仕事にしたほうが幸せだ。そして自分の個性を生かして社会に貢献することが理想だろう。
しかしそれが「自分がやりたいこと以外の仕事はしない」という方向に行ってしまったときに、大きな過ちになると思う。というより、自分の幅を狭くしてしまうと思うし、実は自分の可能性を小さくしているのではないかと思うのである。
そして、そのような姿勢でいる限り「天職」のある場所には決してたどり着けないのだろう。
フリーターをやっている人は純粋で真面目な人も多く、自分なりの理想を持っている人もいる。自分のやりたい仕事や理想の仕事がどこかにあると考える。
しかし、今あなたがフリーターとしてやっている仕事の延長に理想の天職があるのであって、それは全く分野が違っていてもそう考えるべきなのだ。人間は地続きの道を歩いてしか、理想の場所にたどり着くことはできない(もちろんいわゆる実業ではなく投資などの場合は、出会いによってそれが可能になることはある)。
今やっている仕事は腰掛で、そこをやめて理想の職業にいつか行き着くという考えはやはり安易だといわざるをえない。
そのような意味で、まずは、今働いている職場で「なくてはならない人」になって欲しいと思う。どのような場所であってもその場を照らすという気持ちで仕事をしていれば、その輝きは必ず次につながっていくものだからだ。
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