「薬剤師は薬を飲まない」 宇多川久美子
日本は世界でも薬の消費量の多い国であるが、そもそも「薬が病気を治すものだ」という間違った認識をしている人が多い。この本では、薬を使用するから病気が治らないのだということを主張しているが、それは全く正しいと思う。薬の大きな問題点は、体温を下げること、免疫力を低下させてしまうこと、それに体内で重要な働きをしている酵素を減少させてしまうことである。
さすがに薬剤師だけあって、薬を全否定しているわけではない。必要に応じた使用は良いとしても、生活習慣病などを治す効果などはないのだということである。緊急時などに薬が効果を発揮することは当然ながら歴史的事実が証明している。
しかし、日本の高齢者などはほとんどの人が複数の薬を常用しており、このような傾向は本当の意味での健康の在り方に影を落としている（当然ながらこの薬に依存する体質が日本の医療費を増大させ続けている）。多くの人は薬というものが無害だと思っているようだが、薬が「効く」ということは実は体全体にとってはとても怖いことである。
とにかく、薬に頼らないで健康を取り戻すことを第一に考えなければならず、その意味でも著者のような薬剤師の活躍が望まれる。これからの薬剤師は、どれだけ少ない薬で健康を維持、増進していくのかを考え、それをアドバイスできる力が求められるだろう。それは医者にも言えることであって、「ヘルスコンサルタント」のような、病気以前の仕事が、もっと評価されなければならない。
私も、かつて（専門学校勤務時代）仕事のストレスが多く、食生活や生活のリズムが乱れていた時に、皮膚の疾患があった。病院にいくと薬をくれて、それを塗ると症状は治まるものの、薬をやめるとまた元に戻る。医者からはこの症状とは一生付き合っていかなければならない、と言われていた。しかし、ある時から、そのような医者の言うことは無視して、病院に通うことや薬を使うことをやめて、食生活の見直しや運動不足の解消を努力、継続することにした。そうすることによって、その症状は数年後には綺麗に解消したのである。
医者は決して健康の専門家ではないことがわかる。根本原因にアプローチせずに症状を抑えることでよくなっていると錯覚させ、薬を服用させ続けるわけである。私は自分で調べて対策を立てたが、結局自分のことは自分で管理し、治療しなければならないのだと実感した。
幸いにして現代では、心ある医者が様々な形で知識を発信してくれている。本や動画もたくさん出ているから、医者よりも自分の病気に詳しくなることもできる。もちろん必要な検査や専門的な判断はあるかもしれないが、自分でできることはもっとたくさんあるはずだ。
古代の医聖といわれるヒポクラテスは、人間の体には１００人の名医がいる、と言って人間の持っている自然治癒力をたたえたが、この紀元前の医者の真実の言葉を、本当の意味で理解している医者は、日本にどれくらいいるのだろうか。もはや彼らは、患者を囲い続けながら収入源を確保し、病気を治さないことを仕事にしているとさえ言ってもいいだろう。
私は、自分の経験からも（先の経験以外にも医者に騙されたことが何度かある）、大方の医者は信用できなくなってしまったので、自分で調べ考え、自分で打てる手を打つことにしている。そのおかげでここ１０年ほどは病院にはかかることがなくなった。一時、症状の重かった花粉症も、ほとんど症状が出なくなった。風邪をひいても医者に行くこともなければ、薬を飲むこともしない。そもそも風邪をひくのは数年に一度、インフルエンザも予防接種をやめた年から一度もかかっていない。その意味ではこの著書の内容を実践している１人でもある。
もし、現在慢性的な症状で薬を常用している人がいたら、その症状の原因を考え、薬以外でそれを根本的に治す方法はないかを調べてみて欲しい。必ず方法が見つかるはずだからである。
薬は人間にとって緊急時には必要なものである。しかし、これによって健康を取り戻すことができるという考えは捨てた方がいい。おそらく食事と運動だけでかなりの慢性的疾患が改善するのではないかと思う。
この本はまだコロナが流行する以前に書かれた本ではあるが、ワクチンの薬害についても触れられている。コロナのワクチンについては、まだこれから薬害が問題視される時期がきっと訪れるだろう。安易に医者や専門家や政府を信じてはいけない時代に入っているのだ。自分の身を守るためには、自分のインテリジェンスを高める以外にはない。
日本で今後、このような「薬の本当の姿」を発信し、啓蒙できる薬剤師がたくさん出てくることを望みたい。また医療の分野でも、予防医学や病気にならないための健康指導を、自分の利害に関係なく行ってくれる医者の存在が望まれている。今の体制が変わらない限り容易ではないと思うが、まずは国民が薬に頼らず、自分の体の中にある力を信じて、薬の魔力から抜け出してくれることを切に望む。
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