「自粛バカ」 池田清彦
今の日本や日本人の問題点を、様々な観点から取り上げてある。特にコロナによって、日本人の脆弱性が浮き彫りになった。この本の著者の意見にはおおむね賛成できるし、日本人がまさに「思考停止」している現状を厳しく指摘している。
コロナについては、私も諸々言いたいことがたくさんあるのだが、それはここでは置いておいて、結局日本ではみんなが同じ方向に動く空気ができてしまうと、それを変更したり、修正したりすることが極めて難しく、誰もそれをやらないということだ。
また、政府の政策もいったん決めてしまうと、間違っていることがわかっていても、後戻りができず、おかしいとわかっていながら、それを貫徹させるためにあらゆる嘘や方便が使われる。
コロナについて言えば、自粛もワクチンもマスクも、マジョリティがその方向に動くと、あるいは政府がその方向に政策を決めると、もうある程度のところまで行かなければ、誰も引き返すことができないわけである。
みんなと一緒のことをやっていれば大丈夫。みんなと一緒にいれば安心。大勢が行く方に行った方が正しいのだという先入観で行動する多くの日本人。
まさにこれが、日本の大きな問題点であり、この思考停止で行動を続けるところが、私が日本人の一番問題だと思うところである。自分で考えない、調べない、確認しない。政府や専門家、マスコミなど偉い人(本当は全然偉くない、利権と保身と金にまみれた人間なのだが)が言ったことには、素直に従うから動かしやすく、権力や金を持った人間にとっては非常に都合のいい存在ではある。
また、長所として考えれば、軍隊蟻のように上官の命令で素直に動き、理不尽や不合理にも耐える強さを持っていると言えるかもしれない(もっとも最近は心も体も弱くなってはいるが)。
この本では、世界がグローバルキャピタリズムに動かされる現状についても述べられている。温暖化の嘘や、健康診断の無意味さ、健康や環境をネタにした国際資本の様々な仕掛けによって我々は収奪され続けているわけだが、このようなことを正しく認識できている日本人はほとんどいないのではないだろうか。
もはや政治家も専門家もマスコミも、このグローバルキャピタリズムの支配下にあるわけだから、マジョリティは本当は頼りにならないのだ。
これに対する対抗策は、我々が自分で調べて考えて行動することなのだが、今の日本人にそれを求めることはかなりの困難を感じる。
この本ではこのような社会に対する対策や処方箋が述べられているが、多くの人はそのような選択ではなく、快適な「家畜生活」を選択するだろう。決して不幸ではないこの国の、そこそこの幸せの中では、思考停止と自己家畜化の方が楽だからである。
世の中が同じ情報で埋め尽くされているときは、反対の考え方はないか、そして空気が動いていく方向は本当に正しいのか、根拠はあるのか、そしてそれに乗ってもいいのか、自分で調べて考えることが大切だろう。
私も、今回のコロナ騒動で、完全にマジョリティの方向が、信用できないことを確信した。うそで塗り固められた情報や政策。都合の悪い情報は出さない政府やマスコミ。利権によって動き、国民の健康など実はみじんも考えていない専門家。そんな人たちによって作られる政策や情報や取り組み。自分で調査すると、ほとんどは根拠のないものだったことがわかる。
もはや頼れるのは自分と、志を同じくする仲間だけだと思う。
この本を読むと日本社会や日本人の愚かさが身に沁みる。しかし、やはりどこかでこれに気づき、正しい行動がとれる人が増えてくることをあきらめたくはないものだ。
自分にとっての正しさを自分なりの自信や確信をもって語り、行動できる人間になっていく必要があるだろう。
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