「安い国ニッポンの悲惨すぎる未来」 藤井 聡

「安い国ニッポンの悲惨すぎる未来」 藤井 聡


安い国ニッポンの悲惨すぎる未来

現代の若者たちは、自分の未来や、この国の未来をどのように想像しているだろうか。日本が置かれた現状や課題について、どれだけ理解しているだろうか。そしてそれが自分たちで変えられるという希望を、どこかにもっているだろうか。

この本は、これから日本が迎えることになる悲惨な未来像が描かれている。悲惨というのはどのような意味か。それは「貧しさ」がもたらす未来だ。日本は豊かな国であると言われているし、事実まだ生活に困る人はそれほど多くはないのかもしれない。しかし、他国が経済成長する中、所得を減らし、貧困層が増えている現状は、私も他のところでも述べた。

かつては、国民一人当たりのGDPが世界一を誇った日本が、いまや27位に落ち込み、この凋落にはさらに拍車がかかっている。長期のデフレを克服できず、物価は低迷(今現在の物価の上昇はコストプッシュインフレであり、原材料の価格の高騰によるものだ)。所得が上がっていないのは先進国では日本だけである。

この本ではその原因をずばり「緊縮思想」であると断言する。財務省を中心とした政府や政治家や、この国の国民が洗脳されてしまっている緊縮財政などの考え方。財政支出を増やすと国家が破綻するという全くの嘘を信じ続けているが故である。

日本では土地も企業も人間も、全てが安い国になってしまっている。だからこの全てが外国人に買われているのである。企業や土地のオーナーが外国人になるということは、そこで働く日本人の生活や人生、そして収入も全てが、外国人に依存することになる。

日本の有名企業(NEC 富士通 東芝やパイオニア、レナウンなど)はすでに中国企業である。これも日本企業の業績悪化が原因である。

また、よく例に出されるのが北海道はニセコのスキー場。良質の雪が降るので、高級リゾート地として有名だ。ここはすでに外資に買われて、日本人はすでに排除されている。日本のあらゆる高級リゾート地は、世界的には割安であり、経営や営業的に厳しい持ち主は、これを外資に売却することを余儀なくされる。日本の歴史ある老舗の旅館などが廃業したり、外資に買われたりすることは日常茶飯である。

中国からは不動産移民が多数入ってきている。北海道の多くの土地がすでに中国資本に買われていて、その面積は一つの県に相当するくらいの広さだ。森林地帯は水源にもなり、非常に重要なのだが、日本の土地を積極的に中国に買ってもらおうと働きかける政治家もいる。日本には外国人が土地を購入する際の制限がなく、規制がされていないから、日本の国土が日本人のものではなくなっているのである(ちなみに英米もかなりの日本の森林を購入している)。

日本の風俗界も中国人によって買われている。お金にものを言わせた中国人が日本の女性を好きなように凌辱し、背に腹は代えられない風俗業では、中国人を歓迎する始末である。この現状を変えられずに、このままいくとどうなるか。

この本では、2040年には、日本の経済力は米中の10分の1程度になると予想する。さらに日本は買いたたかれ、国際的な影響力を失い、おそらくは植民地と同様の事態に落ちてしまうだろう(すでに植民地状態に近いのではあるが)。

つまり現代の20代の若者が最も働き盛りであり、家族などをもっているような時期に、このような未来が待っているということになる。しかし、日本では、この国の未来や政治や経済に関心を持つ若者は依然少なく、日々のまどろみの中にある。この30年、日本人の所得が上がらず、このような停滞を招いた大きな原因は「消費税の導入である」とこの本は結論付けている。これがきっかけになり日本の経済成長は止まったのだ。

これもすべては財務省発の緊縮思想。財政赤字が問題だから増税をしなければならず、公共事業は減らすべきという考え方である。このような現在の与党や財務省の経済政策によって、日本人は全く豊かになっていないどころかますます貧困化したことを知る必要があるだろう。

財務省は様々な手口で政治家や財界人そして国民を騙すのだが、今やそれに反対しているのは一部の政治家や言論人にすぎない(ただそれを明確に知り、意識して動き出している政党や言論人、国民もいる)。通貨発行権のある日本では、国債という貨幣をどんどん発行し、国民を豊かにすることは可能であるにもかかわらず、財政が破綻する、後世につけを残す、などと言う言葉に騙されて、貧困や増税を受け入れている国民の姿がある。

この状態は、日本がアメリカと中国の二重の植民地状態になっていることを意味していて、この収奪システムから抜け出さない限り、いくら働いても生活は楽にならず、さらに貧困層が増大していくことだろう(日本が米中の草刈り場になっている、といわれるのはそのためである)。

政治家や財界人は中国に篭絡され、アメリカに命令されて、保身を図る人間ばかりであり、自民や公明は事実上中国のいいなり、あるいはアメリカのいいなりである。二人の主人に仕える情けない下僕となり下がっている。

日本の財政や貨幣に関する考え方は根本的に間違っている。これを脱することが日本が豊かな未来をつくっていくための唯一の道である。それには国民がそれを知り、これを脱することを目指している政治家や政党を支持していくしかない。また自分たちでありとあらゆる場所で声を上げるしかないのだ。

この本では日本の地獄の近未来として次のことが指摘される。

1 食料や半導体、エネルギーの自給率のさらなる低下。

2 賃金のさらなる低下、ブラック企業の増加。

3 日本市場に大量の中国製品が出回り、日本製品は駆逐される。

4 現在の与党(自民と公明)がさらに親中政策を推進。

5 大企業も含めて、多くの企業が中国傘下に入る。

6 アメリカの影響力が減退した場合、日本は事実上中国にすがるよりほかはなくなる。

これによって日本が歴史的に営々と築いてきた文化や伝統は事実上破壊され、日本は完全に植民地となるだろう。また反日教育を受け続けてきた中国人が日本人をどのように扱っていくのか、想像に難くない。

このような未来から日本を守る道。この本にはその手立ても提案されている。それは日本が「独立自尊国家」として、依存体質をなくし、間違った緊縮思想から目を覚ますしかない。アメリカにも中国にも依存しないこと。そして間違った考え方を糺すために、真実を知ること。そのうえで、日本独自の世界戦略を描いて、米中と対等に渡り合うことだ。

「独立自尊」は福沢諭吉の言葉である。福沢は「一身独立して一国独立す」と言う。その通りである。まずは国民一人一人が独立心を持つことだ。国任せ、政治家任せ、専門家任せ、お役所任せ、などの考え方や行動をやめて、強い独立心を持つことだ。そのような国民に溢れたら、政治も行政も、あらゆるものが変わっていくだろう。自分で調べて学び、考えて行動する。民主制の下での主(あるじ)は、自分自身である。

このままの日本が、何の努力もなしに、受け身の姿勢で維持できることはない。静かに崩れて侵略されている現状はもはや隠せない。しかし、日本人は事実を知らされず、また調べない。だから、真剣にこの国の未来を考えなければならない。強い独立心によって、静かな支配から脱却する。このような独立の気概にあふれた、高いインテリジェンスを持った若者の出現を強く望みたい。自分たちの未来をつくるのは、自分たちしかないではないか。

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投稿者:

山道 清和

日本の未来への発展と繁栄のために、日本の学生には自分から学び、考え、自分の意見を持つことのできる人材になって欲しいと心から願っています。就職や公務員試験に関する相談も受け付けています。遠慮なくどうぞ。

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