「世界が憧れた日本人の生き方」 天野瀬捺
この本では、日本に初めて来た外国人(主に西洋人)が、日本に対してどのような感動を受けたのか、国民の生活や日常の習慣などについてまとめられた本である。
これを読むと、かつての日本人が、高い精神性と徳性を備え、いかに多くの外国人を驚嘆させ、また感動させたかがわかる。
そして同時に、多くの外国人が、この日本が西洋の物質文明や個人主義、拝金主義などの影響を受けることを憂慮していたこともわかるのである。
今でも日本では、外国こそが先端で素晴らしい、日本は遅れているのだ、という考え方をする人間は決して少なくない。
物質文明や金融やデジタルなどの世界では確かに日本は遅れをとっている面があることは否めない。
しかし、人間にとっての進歩や、社会の発展とは、本当にそのようなもので測られるものなのだろうか。
幸せな人間が増えることこそが、その国家や社会の発展や成長であると私は思う。
そう考えると、江戸時代の日本と、現代の日本を比較するときに、果たしてどちらが発展した社会であると言えるものなのか、疑問を持たざるを得ない。
私も多分に漏れず、若いころはヨーロッパの思想や哲学に惹かれて、あるいはアメリカの先端の?金融工学、経営論などに惹かれて、日本の遅れを見て取った時期があった。
しかし、今では、日本人はかつての日本人をこそ模範とすべしと考えるようになった。
拝金主義や個人主義、物質主義のはびこりが、多くの日本人を不幸にし、共同性を失わせ、社会の依るべき絆を断ち切って、むしろ幸せから遠ざかる人間を増産し続けているのではないかと思える。
かつての日本を訪れた外国人が素朴に感じた日本の美点や、素晴らしき精神性、そして人々の繋がりこそが今の日本に最も必要なものである。
日本の若者には、だから、「内向きで良い。日本とか自分の郷土とか、自分自身を徹底的に探究する」ことを勧めたい。
日本人はかつての日本人から学ぶべきであり、それこそが歴史や地域をつなぐための大切な生業である。まずそこから始めて、次第に海外の国に目を向けるが良い。
そして何よりも、自らの先人たちのすばらしさに自信と誇りを持ち、それゆえに自らにも誇りをもって日々の生活を送って欲しいと心から思う。
そのようなきっかけを与えてくれる本である。是非、一読されたい。
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