「ハーバード流 幸せになる技術」 悠木そのま
世の中には「東大式」とか「ハーバード流」などと言って、大学名を付けることで書物がさも価値があるかのように見せる商法が多いので、このような題名の本を私は本当はあまり好きではない。
特に「東大式」などというと、それをありがたがるのは一部の日本人だけであって、東大はもはや世界でも、優秀な大学だなんて思われていないのではないか。「〇〇式」とか「〇〇流」などと言っても、別に新たに発見されたものでも何でもなく、そのノウハウが東大生や東大出身者によって書かれているというだけである(とはいってもそれをきちんと本にできるのだからさすが東大というべきか)。
世の中にある情報やノウハウは、もうかなり出尽くしていて、それをすでに実行したり、行動に移したりしている人は山ほどいるのが現実だから、このようなノウハウなどは専売特許ではない。
そうはいっても、本の中身はそれなりに学ぶべき点もあるならば、買って読むべきだろう。この本は幸福論、などと言えば思想や理念で語られそうなところ、具体的な技術にまで落とし込んでいるところが評価できる点だと思う。
幸福論や幸福学は、本当は大学などで主要な講座の科目になるべきテーマであるが、日本ではこの方面の研究は遅れているのではないかと思われる。しかし、さすがというかアメリカをはじめとして海外では本格的に実証的な研究もなされている。
人間の幸福を支える要素は様々である。仕事、お金、家族、人間関係、余暇、健康などあげればきりがない。このような要素を、それぞれにきちんと研究していくことが、総合的な幸福学につながるだろう。
この本では幸福の本質を「日々の喜び」「人生の意味」の二つの要素から考えている。確かに、人間にとっての幸福とは日々のものでありながら、同時に永続するものでなければならないだろう。
学生時代から「自分にとっての幸福とは何か」と言うことについて、定義付けをしていく努力が求められると思う。学力が優秀だったり、社会的な肩書を有したりしていても、客観的に幸福とは言えない、あるいは自分でも幸福だと自信を持って言えない人は少なくない。
その原因は明らかである。
自分にとっての幸福とは何かを、真剣に探求してこなかったからなのだ。これは若いうちから繰り返し問い直し、問い続け、その定義を歳とともに再定義し続けていかなければならないものだからだ。
その意味で、どうしてもある種の人生哲学や人生論が必須なのである。
この本では「お金の技術」「キャリアの技術」「目標の技術」「行動習慣の技術」の観点から様々な研究結果を引用しながらまとめられており、自分なりの考えをまとめるのに、役立つだろう。また、実行に移す際のヒントにもなるだろう。
自分にとっての幸福の理念、そして自分にとっての幸福の技術を探求していくための道しるべになる本だと思う。
(BOOK OFFにてクーポン利用 10円で購入)
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